英語の臨界期を仮説と年齢グラフを基に解説!発音や言語習得はいつまで?

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皆さんは臨界期(critical period)という言葉をご存知でしょうか?

一般的にはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、英語をはじめとする言語学の分野では広く知られた言葉になります。

臨界期は脳科学の用語であり、定義としては感覚機能や言語習得に関わる脳の神経回路が集中的に形成される、人間の発達過程において非常に重要な時期のことを指します。

つまり、日本語・英語を問わず、臨界期は人間が言語を習得する上で最も大切な時期であり、この時期を過ぎると言語習得が難しくなっていくと言っても過言ではありません。

それでは臨界期は具体的に何歳ごろに訪れるものなのか、そしてこの臨界期がどのように人間の言語習得に影響を及ぼしているのか。

この記事ではこれらの点について、エリックレネバーグが提唱した臨界期仮説と臨界期の年齢を示すグラフを基に解説するとともに、その臨界期仮説を裏付けるある子どもの実際の言語習得の事例もご紹介します。

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言語習得における臨界期とは?

言語習得における臨界期を代表する一つの説として、ドイツの言語学者・神経内科医であったエリック・レネバーグ(Eric Lenneberg)が1967年に発表した著作「言語の生物学的基礎(Biological Foundations of Language)」の中で提唱した臨界期仮説(Critical Period Hypothesis)があります。

レネバーグがその仮説の中で主張したことは主に以下の2点です。

  1. 母語及び第二言語の習得において、人間は臨界期と呼ばれる特定の時期を過ぎるとそれらの習得が困難になる。
  2. 臨界期は幼児期(1歳前後)から思春期(12歳前後)までであり、その時期を過ぎると言語習得能力が徐々に失われるため、母語と同じレベルでの第二言語の習得はできない。

レネバーグはこの臨界期仮説を立てる前に、脳損傷によって失語症に陥ってしまった子どもの患者たちの言語能力がどのようにして回復するのか、その過程を発症した時点での子どもの年齢別に調査し、結果を以下の通りにまとめました。

  • 2歳ごろまでに発症した子どもは、言語は一度は全て失われてしまうものの、その後言語習得を再開すると順調に言語を回復していく。
  • 3〜4歳ごろに発症した子どもは、元から持っていた言語は完全には失われることなく若干残った状態から言語習得が再開され、その後も順調に言語を回復していく。
  • 5歳以上で発症した子どもは、その発症した年齢が上がれば上がるほど元から持っていた言語が残る割合が高くなる一方で、失語症からの回復は遅くなる。
  • 思春期(12歳前後)以前に発症した子どもの言語は最終的に完全に回復するが、思春期以降に発症した子どもの言語は長い時間が経っても完全には回復しない。

以上の点から、レネバーグは12歳前後が臨界期として結論づけ、臨界期仮説を提唱しました。

臨界期と人間の脳の関係

では、なぜ臨界期は12歳前後に訪れるのでしょうか?

実はこれには人間の脳が深く関係しています。

皆さんもご存知のように、人間の脳は直感的・感覚的な機能がある右脳と、論理的・言語的な機能がある左脳に分かれています。

この機能の分担は人間が生まれた瞬間から行われているわけではなく、人間の成長にあわせて左右それぞれの脳が徐々に異なる機能を持つようになり、12歳前後で脳は成人の域に達して脳の分化が完了します。

レネバーグは、脳の分化の完了に伴って言語を司る左脳の機能が固定されて再編成する能力を失い、その結果として言語を新しく習得することが難しくなると考えて臨界期仮説を提唱するに至りました。

ちなみに、脳損傷によって失語症に陥ってしまった患者の言語能力は徐々に回復しますが、これは言語を司る左脳の損傷した部分が治癒するということを意味するのではありません。

左脳の損傷によってそれまで左脳が司ってきた言語能力が失われてしまう場合、本来は言語的な機能を持たない右脳がその役割を担い、言語習得を再開させるため患者の言語能力が回復していくのです。

改めて人間の脳は本当に不思議だと感じると同時に、素晴らしい機能を持っていることが分かりますよね。

アメリカの少女の具体的事例

臨界期仮説をサポートする具体的事例として、最もよく引き合いに出されるのがアメリカの少女ジーニーの言語習得の過程です。

【関連サイト】ウィキペディア「ジーニー (隔離児)」

アメリカのカリフォルニア州の家庭に生まれたジーニーは、1歳頃に発達の遅れを医師から診断され、

ジーニーは幼少期のころから、実の父親に虐待を受けながら地下室に監禁されて育つという、極めて悲劇的でかつ特殊な環境の中で過ごしてきました。

そうした先の見えない、酷く苦しい状況下でもなんとか生き延びたジーニーは、幸いにも13歳で救出され、その後は実の母親や祖母、里親によって育てられることになります。

救出直後のジーニーは、身長137cm、体重26kgと、7歳児と同じような体型であったことに加えて、それまで人や社会からは完全に隔絶されていたため全く言葉を話すことができませんでした。

言語習得の時期を逸した子どもの貴重な事例として、世界中の言語学者や心理学者がジーニーに着目し、ジーニーの言語習得の過程の記録及び社会への復帰を目的とした支援プロジェクトが発足しました。

その記録によると、ジーニーは単語を発することや二語までの文を話すことはすぐにできるようになったもののそこから先は言語能力はなかなか発達せず、最終的にはプロジェクト発足後5年間受けてきたトレーニングを終えてもまだ意味が通じる言葉を発することができなかったとされています。

さらに、言語学者であるスーザン・カーティスがジーニーに対し、「両耳分離聴検査法」という耳からの音の情報がどのように脳へ伝達されるかを調べるための検査を行ったところ、ジーニーは言語音を言語を司る左脳ではなく右脳で処理をしていたことが判明しました。

このことから、ジーニーは臨界期を過ぎたことによって左脳での言語処理ができず、代わりに右脳がそれを補完する形になったと結論付けられ、臨界期仮説をサポートする事例となったのです。

まとめ

今回は言語習得における臨界期について解説しました。

臨界期仮説についてはレネバーグ以降も多数の言語学者らによって様々な研究が行われており、実際には臨界期の時期についてはもちろん、その臨界期の存在自体が議論を呼ぶものとなっています。

しかしながら、言語習得に臨界期という概念を最初に投げかけた臨界期仮説は非常に重要な説であり、ジーニーの事例も言語の世界では特に有名であるため、知識として持っておくことは決して無駄にはなりません。

また、これから英語を学ぶ方にとっては、今回の臨界期の概念にとらわれずに勉強を一心に続けて頂ければと思います。

何歳になっても学び続ける姿勢というのは非常に素晴らしいですし、継続的に勉強に取り組むことで少しずつでもネイティブスピーカーのレベルに近づくことは可能です。

私自身もまだまだ勉強中の身であるため、今後もレベルが上がると信じてしっかりと学んでいきたいと思います!

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