
数ある英文法項目の中で、重要ではあるものの理解することが難しい項目の一つが「不定詞」です。
不定詞にはいくつかの種類があり、その種類によって意味や用法が大きく異なるため、一つひとつを正確に理解して覚えるのが難しいという側面があります。
しかし、それは逆に言うと不定詞をマスターすることができれば様々な意味や用法に対応できるということにもなります。
長文読解では文章の意味や内容を捉えやすくなりますし、英作文やスピーキングでは適した表現方法を自ら選択して使用できるようになります。
不定詞を理解する、しないでは総合的な英語力が大きく異なってくると言っても決して過言ではありません。
そこで、この記事では不定詞の意味・用法について例文とともに解説します。
加えて、不定詞と同じような意味を持ち、似た働きをする「動名詞」との使い分け方についても解説します。
一つずつ整理しながら覚えることが大切になりますので、ぜひ皆さんの勉強のご参考にして頂ければと思います。
不定詞の定義
そもそもえ不定詞とはどういうものなのでしょうか?
英語において不定詞とは、動詞を基本とした形を取りつつ名詞や形容詞、副詞などの他の品詞の働きをする英文法項目の一つです。
不定詞には主語の人称や単数形・複数形などにかかわらず動詞の原形が用いられるという特徴があり、主語によって語形が限定されないということに由来して「不定詞」と名付けられています。
不定詞の種類としては「to不定詞」と「原形不定詞」の2種類があります。
その名の通り、to不定詞は「to+動詞の原形」、原形不定詞は「動詞の原形のみ」という形をそれぞれ取りますので覚えやすいです。
ただし、原形不定詞については比較的限られた場合のみに用いられるものであるため、一般的に英語の不定詞と言えばto不定詞のことを指します。
そのため、この記事ではto不定詞に焦点を当てて解説をします。
to不定詞の用法
to不定詞には、名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法の3つの用法があります。
「〜的用法」という漢字ばかりで少し堅苦しくて難しそうな感じがしますよね(笑)
ですが、これらをしっかりと整理しながら覚えていくことができれば、一つひとつはそこまで難しいものではありません。
それでは、ここからはそれぞれの用法について解説していきます。
①名詞的用法
to不定詞を名詞の代わりとして使う用法を、不定詞の「名詞的用法」といいます。
to不定詞が名詞として働く場合には、通常の名詞と同じように文の主語や目的語、補語になります。
<主語としての用法>
to不定詞が文頭に来たり、It is・・・ to〜 の構文の中に組み込まれたりして主語となり、意味は「〜することは」となります。
(例文)
To see a movie is fun. 映画を見ることは楽しいです。
It is interesting for me to study English. 私にとって英語を勉強するのは面白いです。
<目的語としての用法>
to不定詞が動詞の目的語となり、意味は「〜することを」となります。
(例文)
I liketo play soccer. 私はサッカーをするのが好きです。(サッカーをすることを好む。)
I want to go to the sea. 私は海に行きたいです。(海に行くことを望む。)
<補語としての用法>
to不定詞が主語や目的語を補う働きをする補語となり、意味は「〜すること」「〜であること」となります。
(例文)
My dream is to become a doctor. 私の夢は医者になることです。
We believe himto be a genius. 私たちは彼が天才であると思っています。
②形容詞的用法
to不定詞を形容詞の代わりとして使う用法を、不定詞の「形容詞的用法」といいます。
to不定詞が形容詞として働く場合には、修飾される名詞が不定詞の意味上の主語あるいは目的語になり、意味は「〜するための」となります。
<主語関係>
主語関係では、修飾される語が不定詞の意味上の主語になります。
(例文)
I have a friendto help me. 私には助けてくれる友達がいます。(私を助けるための友達)
※助ける(help)のは友達(a friend)であるため、to helpの意味上の主語は a friend
Neil Armstrong was the first personto set foot on the moon.
ニール・アームストロングが人類で初めて月面に足を踏み入れました。(踏み入れた初めての人間)
<目的語関係>
目的語関係では、修飾される語が不定詞の意味上の目的語になります。
(例文)
I want somethingto drink. 私は何か飲み物が欲しいです。(飲むための何かが欲しい)
※何か(something)を飲む(drink)ため、to drinkの意味上の目的語は something
There are a lot of good booksto read in the world.
この世界には読むべき良い本がたくさんある。(読むための良い本)
③副詞的用法
to不定詞を副詞の代わりとして使う用法を、不定詞の「副詞的用法」といいます。
to不定詞が副詞として働く場合には、前の動詞を修飾して「〜するために」という目的の意味、あるいは「〜をして・・・する」という結果の意味を表します。
(例文)
I went to Tokyo to see my friend. 私は友達に会うために東京に行きました。(目的)
I am relievedto hear that. 私はそれを聞いて安心しました。(結果)
to不定詞と動名詞との使い分け
ここまで不定詞について解説をしてきましたが、不定詞としばしば混同されるのが「動名詞」です。
動名詞は英文法項目の一つで、動詞の性質を保ちつつ名詞と同じような働きをするのが特徴で、文中では主語や目的語になります。
形としては動詞の原形に「-ing」がつき、意味は「〜すること」と訳されます。
(例文)
Watching TV is very fun. テレビを観ることはとても楽しい。
上記の例文では、”Watching” が動名詞として「観ること」という意味を表し、文の主語の働きをしています。
ここで、鋭い方はお気付きになられたかもしれませんが、文中で主語や目的語の働きをし、「〜すること」という意味を表すという動名詞の特徴は、to不定詞の名詞的用法と非常によく似ています。
しかし、to不定詞と動名詞は、特に目的語として働く場合に大きな使い分け方があります。
それはto不定詞の名詞的用法が現在あるいは未来のことを指す際に用いられるのに対して、動名詞は過去のことを指す際に用いられるという点です。
下記にそれぞれの例文を挙げてみます。
(to不定詞) I forgot to call him. 私は彼に電話をすることを忘れた。
(動名詞) I forgot calling him. 私は彼に電話をしたことを忘れた。
上記の例文のように、to不定詞が「電話をする」というこれから行うこと(=未来)を忘れてしまったという意味を表すのに対して、動名詞は「電話をした」という事実(=過去)を忘れてしまったという意味を表します。
つまり、to不定詞は「未来志向」、動名詞は「過去志向」ということです。
また、こうしたto不定詞と動名詞の意味の違いはその文中の動詞によって決まることがあり、上記の例文の forget の他に remember や stop といった動詞の場合にも違いが見られます。
意味の違いや動詞の種類などを覚えることさえできれば、to不定詞と動名詞をうまく使い分けることが可能になりますので、ぜひそこを目指して勉強に取り組んで下さい!
まとめ
今回はto不定詞について、定義や用法、また動名詞との使い分け方について解説しました。
以前よりも理解を深めることはできましたでしょうか?
この記事の冒頭にも書いたように、不定詞をマスターすることができれば様々な意味や用法に対応できるため、英語力を全体的にレベルアップさせることができます。
to不定詞は覚えるべき用法や意味が多く、理解するのが大変という側面はありますが、その分自分の力になる信じて粘り強く勉強に取り組んでいきましょう!