アクティブ・ラーニングとは?その意味や目的は?英語の授業事例も紹介!

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これまで皆さん自身が受けてきた中学校や高校での英語の授業はどのようなものでしたでしょうか?

先生が教科書を一通り読んだ後に黒板に文法説明や和訳を書き、生徒がそれをひたすらノートに書き写し、そして先生が再び教科書の続きを読んで黒板に書く…

世代によっては違うものの、こうした授業は日本では典型的な形式であり、私を含めて多くの方がこのような授業を受けられてきたと思います。

しかし、このような授業では生徒が受動的になるため、教育としては理想的ではないとしてしばしば批判されてきました。

そこで、近年よく耳にするようになった言葉が「アクティブ・ラーニング(active learning)」です。

この記事では、アクティブ・ラーニングについて、その概要や目的を解説するとともに、実際の英語の授業で行われるような事例もご紹介します。

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アクティブ・ラーニングとは?

文字通りに直訳すると「活動的な学び」となるアクティブ・ラーニングは、教員が学習者に対して一方的に講義を行う教育ではなく、学習者自身が主体的・能動的に学習に取り組む学習法です。

外国では昔から当たり前のように行われてきたアクティブ・ラーニングですが、日本で広く知られるようになったのは2012年、わずか十数年前のことです。

この年、文部科学省における中央教育審議会答申の中で初めてアクティブ・ラーニングという言葉が登場し、その内容についての言及がありました。

その答申の中で、アクティブ・ラーニングは以下のように定義されています。

【アクティブ・ラーニング】

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

文部科学省
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/10/04/1325048_3.pdf

また、アクティブ・ラーニングの意義や目的については以下のように述べられています。

生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を持った人材は、学生からみて受動的な教育の場では育成することができない。従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である。すなわち個々の学生の認知的、倫理的、社会的能力を引き出し、それを鍛えるディスカッションやディベートといった双方向の講義、演習、実験、実習や実技等を中心とした授業への転換によって、学生の主体的な学修を促す質の高い学士課程教育を進めることが求められる。学生は主体的な学修の体験を重ねてこそ、生涯学び続ける力を修得できるのである。

文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/055/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2013/04/04/1331530_6.pdf

アクティブ・ラーニングの登場によって、日本の英語教育は大きく変化しました。

生徒がディスカッションやディベートで自分の意見を発表したり、グループワークで様々な物事についてみんなで話し合ったりなど、教員ではなく学習者自身が発信元となって能動的に活動する機会が増えたためです。

そして、そうした能動的な活動を通じてこそ、主体的に考える力や社会的能力を養うことができるというのがアクティブ・ラーニングの基本的な考え方になります。

アクティブ・ラーニングの事例

アクティブ・ラーニングには上述のとおりグループワークやディスカッションをはじめとした様々な学習法がありますが、ここではその中の1つである「Think-Pair-Share」をご紹介します。

Think-Pair-Shareは、ある与えられた質問やテーマに対して、①自分で考える → ②ペアになって意見交換をする → ③全体で意見を共有し、より考えを深める という一連のサイクルで学ぶ学習法です。

例えば、先生から生徒に対して、「もしこのクラスに英語しか話せないアメリカ人の転校生が来たとしたら、皆さんはどのようにその子とコミュニケーションを取りますか?」という質問が与えられたとします。

すると、生徒はその質問に対してまず各自で自分なりの答えを考えます。

「自分の知っている簡単な英語で挨拶や自己紹介をする」
「一緒にスポーツやゲームをして遊ぶ」
「ジェスチャーや簡単な言葉をお互いに教え合ったりする」

など、思いつく限りで自分の意見をまとめます。

その後、生徒は2人1組のペアになり、それぞれの意見を交換します。

ここで大切なポイントは、ペアの間で意見が異なる場合には、それぞれが自分の意見や考えの根拠を明確にして相手に伝えることと、最終的にはそれぞれの考えを1つにまとめてペアとしての意見を導き出すことです。

自分の意見を相手に伝えることで論理的に考える力を身につけることができ、また他者との意見交換を行うことで自分の意見に説得力を持たせて主張することを学んだり、自分とは異なる考え方を尊重することの大切さを理解したりすることができます。

そして最後には、ペアで導き出した意見をクラス全体に共有します。

自分たちの意見とは異なる様々な意見や考えに触れ、それに同意あるいは反対をしたりして全員で討議を行い、先生からのフィードバックを適時に受けることでより理解を深めることができます。

また、討議を行うということは全体に向けて自分の意見を発表するというトレーニングにもなり、その回数を重ねることで人前で話すことに対しても自信がつくようになります。

以上が、Think-Pair-Share の基本的な流れになります。

少しでもイメージを掴むことはできましたでしょうか?

ちなみに、Think-Pair-Share はあくまでもアクティブ・ラーニングの事例であり、英語で行うことに限定する必要はありません。

小学校であればまず考える力や意見を述べる力を身につけるためにも日本語で行う方が良いと思いますし、高校生や大学生であれば英語のみで行うことで積極的に英語を使用する機会が得られるため非常に良い英語のトレーニングになると思います。

教える側である教員や指導者がそのあたりを適切に判断し、学習者の学習を促進させることが必要となります。

まとめ

今回はアクティブ・ラーニングについて解説しました。

Think-Pair-Share に代表されるように、アクティブ・ラーニングの最大のメリットは学習者がペアワークや全体での討議、発表の中で自分自身の意見を発信して主体的に学ぶことができる点にあります。

そして、それを英語で行うことで同時に英語力も身につけることもできる、学習者にとっては非常に優れた学習法であると言えます。

ただし、アクティブ・ラーニングは日本では近年になってやっと取り入れ始められたところであり、これからさらに発展させられるべき学習法であるのも事実です。

今後より多くの教員や指導者がアクティブ・ラーニングを取り入れ、教える側からの一方的な教育では得られないような学習の機会を学習者がたくさん得られるようになることを個人的には強く願っています。

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