オールイングリッシュとは?中学・高校の英語の授業を英語で行う意義は?

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「オールイングリッシュ」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?

教育の分野に興味をお持ちの方や実際に教育業界に関わりのある方であればご存知かと思いますが、それ以外の方にとってはあまり馴染みのない言葉ではないかもしれません。

 

オールイングリッシュとは、この記事のタイトルにもあるとおり、英語の授業を英語のみで行う指導法のことを指します。

授業中は教師も生徒も基本的に日本語を使うことはなく、教科書の音読をはじめ教師による文法の説明や解説、生徒への問いかけ、あるいは生徒からの質問や回答、生徒同士の会話なども全て英語でおこないます。

 

このように、英語のみで授業を展開し、「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」というスタイルがオールイングリッシュであり、日本では近年になりようやく導入され始めました。

この記事では、オールイングリッシュが導入されるようになった背景とその意義、及びオールイングリッシュのメリット・デメリットについて解説します。

 

 

オールイングリッシュの導入

 

日本でオールイングリッシュが導入されるようになった背景の一つには、日本人の英語力の低さが挙げられます。

一般的には多くの日本人が中学校・高等学校を通じた6年もの間で英語を学んでいるにもかかわらず、実際に英語でコミュニケーションを取るとなると話せなかったり聞き取れなかったりする人が圧倒的に多いです。

実際に日本人の英語力は世界的に見てもかなり低い方であり、2018年の世界の英語能力ランキングにおいて日本は非英語圏の88カ国中の49位、アジアの国に限定すると21カ国中の11位という順位になっています。

特に、アジアにおいてはシンガポールやインド、韓国、中国といった国々が日本よりも上位に位置しているのに対し、日本よりも下位の国はミャンマーやアフガニスタン、カンボジアなどの発展途上国が占めています。

つまり、アジアの中でも経済的に恵まれ、教育体制も十分に構築されている国の中においては日本は最下位にあたるということです。

日本人の英語力が世界的に見て低いというのはこのことであり、オールイングリッシュはそれを改善するものとして期待されています。

 

【参考記事】日本人の英語力は低い?データに見る日本の現在のレベルと今後を解説!

 

 

そして、日本でオールイングリッシュが導入されるようになったもう一つの背景が、文部科学省が告示する学習指導要領です。

各学校がその教育課程(カリキュラム)を編成する際に基準となる学習指導要領ですが、高等学校については2009年に、中学校については2017年に改訂された外国語(英語)の学習指導要領において、「授業は英語で行うことを基本とする」という文言が初めて明記されたのです。(あくまで「基本とする」であるため、授業を必ずしも全て英語で進めるというわけではなく、当然ながら状況に応じて必要な場合には日本語を用います。)

この学習指導要領の改訂を受けて、多くの中学校・高等学校でオールイングリッシュが実際に導入されることになりました。

文部科学省が行った2018年度の英語教育実施状況調査によると、中学校では約75%、高等学校では約50%の学校が授業の半分以上の時間で生徒が英語による言語活動を実施していると回答しました。

この改訂以降オールイングリッシュの導入が全国の学校で加速し、生徒がコミュニケーションとしての英語に触れる機会が多くなりました。

日本の英語教育のターニングポイントになったと言っても過言ではないかもしれません。

 

 

オールイングリッシュのメリット

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①実践的な英語力が身に付く

これまでの学校での英語の授業は、いわゆる「文法訳読法」と呼ばれるものでした。

教師が文法の説明と和訳を行って生徒はそれをノートに書き留める、という一連の流れが繰り返されながら授業が進められる教授法です。

文法訳読法は「読み」「書き」の能力の向上には定評がある一方で、「聞く」「話す」については効果が低く疎かにされているとの批判もありました。

しかし、コミュニケーションに重きを置いたオールイングリッシュの導入によって、生徒が実際に英語を聞いたり話したりする時間が大きく増え、より実践的な英語力を身に付けることができます。

言語は若ければ若いほど、そして使えば使うほど上達するものです。

中学生や高校生という早い段階で英語を実践的に用いる時間を多く持つことができれば、英語力はその先も継続して向上すると考えられます。

 

②英語を話すことに慣れる

日本人の英語が上達しない理由の一つには、日本人は英語に自信がないために積極的には話さないという点があります。

実際には英語が話せる、あるいはカタコトながらも意図を伝えられるというレベルであったとしても、自分自身の中では「流暢には話せない=苦手」だと感じてしまい、英語を話すこと自体を避けてしまうという人も多いのではないでしょうか。

その点、オールイングリッシュは学校の授業であるため、初めは多少戸惑いがあったとしても授業の形式に慣れるにつれて英語を話すことが自然で当たり前の環境に感じられます。

またその中で生徒はみんな同じように英語を一から学んでいくため、自分と周りのレベル差を感じることもありません。

こうした環境・意識の中で継続して学び続けることで、コミュニケーションとしての英語力を確実に向上させることができます。

 

③授業が楽しくなる

オールイングリッシュの特徴の1つとして、英語を積極的に使用することに焦点を当てているためにペアワークやグループワークといった活動を多く行うという点があります。

教師による説明をただ受け身に聞いているだけの授業とは異なり、こうした活動を通じて生徒はより能動的に、そして友達同士でおしゃべりをするような感覚で英語を楽しく学ぶことができます。

授業を楽しいと感じると、英語に対しての良い印象やイメージを持つことができ、オールイングリッシュはもちろん基本的な文法の理解や単語の暗記などにおいても良い影響を与えられます。

 

 

オールイングリッシュのデメリット

①教師の英語力に左右される

オールイングリッシュでは教師は基本的に英語を使って授業を展開するため、教師の英語力が非常に重要になります。

教師の英語力が高ければ生徒はその英語を聞くだけでもリスニング力が向上したり豊富な英語表現を学ぶことができたりしますし、その教師のように流暢な英語を話せるようになりたいと思って英語に対するモチベーションが上がる生徒も出てくると思います。

一方、教師の英語力が低い場合はその逆となり、英語を聞いても効果がなかったり誤った発音や表現を覚えてしまったり、あるいは英語がなかなか頭に入って来ず授業そのものがつまらなく感じてしまったりすることもあるかもしれません。

教師は自分の英語力を補うためにリスニング用のCDといった英語の音声の教材を用いることも可能ですが、やはり英語の基本は人と人とのコミュニケーションであるため教師から発される生の英語に勝るものはありません。

 

②大学受験には向いていない

現在、日本の大学受験の英語といえば問われるのは基本的に「読む」「書く」の能力であり、実際にテストでは文法問題や長文読解が多くを占めます。

しかし、オールイングリッシュは「聞く」「話す」に重きを置いた授業となるため、その点では大学受験には不向きであると言っても過言ではありません。

ただし、近年では大学入試センター試験(大学入学共通テスト)においてスピーキングテストの導入が検討されるなど、これまでの「読む」「書く」に加えて「聞く」「話す」を合わせた英語の4技能を問う風潮になってきてはいます。

将来的に受験の英語の形式がどのようになるかは分かりませんが、生徒にとって学校ではオールイングリッシュで実践的な英語力を身に付けながら、受験も見据えて授業以外の時間に受験対策の勉強も行うことも必要かもしれません。

 

 

まとめ

 

今回はオールイングリッシュについて解説しました。

オールイングリッシュ導入の背景や意義、メリット・デメリットについて少しでもお分かり頂けましたでしょうか?

「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」というスタイルは生徒にとっては英語力の向上が期待できる非常に良い学習法である反面、教師の英語力に左右されたり受験にはまだ向いていなかったりする面もあります。

このように一長一短があるオールイングリッシュではありますが、長い目で日本の将来を見据えた時には必ず実践的な英語力は必要になってくると思います。

今後オールイングリッシュで英語を学ぶ生徒の皆さんが英語を好きになり、楽しく学んでいかれることを期待しています。

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