皆さんは「冠詞」というものをご存知でしょうか?
英語を勉強する日本人にとって英文法の中でも最も難しく感じるものの1つがこの冠詞と呼ばれるものです。
冠詞は主に英語やドイツ語、フランス語といった欧米諸国の言語に見られるものであり、日本語には存在しないものであるために私たち日本人にとっては理解するのが難しいという側面があります。
そもそも冠詞とはどのようなものかというと、広辞苑(第六版)では以下の通りに定義されています。
英語の aや theのように名詞の前(稀に後)に現れ、その名詞の表す事物の特定性を示す語。定冠詞ならば名詞の表す類の中の特定のものであることを、不定冠詞ならば任意のものであることを示す。
なんとなく分かるような分からないようなといった感じですよね(笑)
そこでこの記事では、代表的な冠詞である a と the の使い分けかたをはじめ、英語の冠詞の種類と意味の違いについて、具体的な例文を交えながら解説します。
冠詞の種類
英語の冠詞には大きく分けて、不定冠詞、定冠詞、無冠詞の3種類
①不定冠詞 a/an
(例)I have a car. 私は車を持っています。
不定冠詞の a/an は対象のものが特定されない場合に用いられ、働きとしては後ろに続く名詞が不特定かつ単数であることを示します。
意味は「(ある)1つの〜」となりますが、あえて訳す必要はありません。
上記の例文では、話し手は車について車種やメーカーを特定することなく一般的な話として車を持っているということを述べており、このような場合に不定冠詞の a/an が用いられます。
ちなみにこの例文の冠詞は aになっていますが、これは後ろに続く名詞が carという子音で始まる単語であるためで、もし後ろの名詞が umbrella(傘)のような母音で始まる単語であった場合は、I have an umbrella.となります。
つまり、a/anの使い分けは後ろに続く名詞の始まりが子音か母音かによって決まり、意味や用法の違いは全くありません。
②定冠詞 the
(例)I have the car. 私はその車を持っています。
定冠詞の the は対象のものが特定される場合に用いられ、働きとしては後ろに続く名詞が特定のものであることを示します。
意味は「その〜」となりますが、これも場合によってはあえて訳す必要はありません。
上記の例文では、話し手と聞き手の間で話に出てきている車がどの車を指しているのかが特定されています。
この一文が以下のような会話の流れの中にあったとしたらいかがでしょうか?
(A)Yesterday I walked down the street and saw a Ferrari. It was so cool!
「昨日道を歩いていたらフェラーリを見かけたんだ。とてもかっこよかったよ!」
(B)Oh, really? Actually I have the car.
「本当に? 実は僕はその車を持っているんだ。」
(A)No way! Are you kidding?
「まさか! 冗談だろ?」
会話の流れから、the carが示すのは Ferrariであるということが分かりますよね。
このように、対象のものが特定される場合には a/anではなく theが用いられます。
また、特定性という観点から、常識的に唯一のものにも冠詞として theが付けられます。
(例)The sun rises inthe east.太陽は東から昇る。
(太陽や地球などの天体や、東西南北といった方角は唯一のものとみなされるため)
③無冠詞
(例)I like soccer. 私はサッカーが好きです。
無冠詞とは、その名の通り冠詞がつかない用法です。
上記の例文では、a/an や theといった冠詞はありませんよね。
無冠詞となるケースとしては、主に下記の3つのパターンがあります。
1.名詞の複数形
(例) I bought someapples. 私はリンゴをいくつか買いました。
Children are playing in the park. 子どもたちが公園で遊んでいる。
2.不可算名詞
(例) I likesoccer. 私はサッカーが好きです。
Time ismoney. 時は金なり。
3.固有名詞
(例) Tokyo is the capital ofJapan. 東京は日本の首都です。
Messi is a famous football player. メッシは有名なサッカー選手です。
まとめ
今回は冠詞をテーマとして解説をしましたが、少しでも冠詞についての理解を深めることはできましたでしょうか?
冠詞の難しさは、話の中で対象となる名詞が特定されているかいないか、可算名詞か不可算名詞か、単数形か複数形か、などといった様々なパターンによって用いられる冠詞が異なってくるというところにあります。
しかし、逆に言えばそのパターンさえ覚えてしまうことができれば、冠詞に惑わされることはなくなります。
これはリーディングや長文読解を通じて多くの英文に触れることによって感覚的に学ぶことができますので、日々の勉強をしっかりと積み重ねていくことが大切です。